SDA Award

SDA Award2021

日本サインデザイン賞2021年度審査総評

公益社団法人日本サインデザイン協会(以下SDA)が主催する第55回日本サインデザイン賞は、昨年度に引き続きコロナ禍での開催となったが、応募総数は343点(昨年度は315点)と昨年度を上回った。厳しい状況の中でも、関係者が優れたサインをつくろうと尽力されていることの現れと、まずは応募された方々に敬意を表したい。

二次審査は入選作品をあらためて5点満点で評価し、集計した平均点を高得点順に並べて賞のランクで区分けした。大賞・金賞候補5点、銀賞候補15点でボーダーラインを設け、上位に上げる作品、下位に下げる作品を個別に挙げて議論した。平均点では読み取れない作品の社会性、情報性、先進性、審美性について、審査員それぞれの観点から検討すべき作品を挙げて協議、投票を行って確定させた。

銅賞31点、銀賞15点は順調に決まったが、金賞4点及び、そこから大賞1点を選考するプロセスでは、大賞候補2作品の得票が同数になり、サインデザインの定義を確認するような白熱の議論が行われた。大賞候補となった2作品は、長野を代表する寺院である善光寺と隣接する城山公園に立地する「長野県立美術館サイン計画」と、横須賀市立平和中央公園に設置されたモニュメント「平和の軸」だ。前者は白を基調とした建築空間に、「フレーム」をキーとしたシンプルな矩形と黒いラインで構成したサインである。1本の線、そしてサインによって空間の魅力を高めている完成度の高い作品であったが、金賞+招待審査員賞(ボー・リンネマン賞、永山祐子賞)を受賞した。

日本サインデザイン大賞・経済産業大臣賞には「平和の軸」が選ばれた。作品の評価については大賞審査講評をご一読願いたい。最終的な決め手となったのは、作品が平和を願う継続的な取り組みの中でつくられ、市内外に対して情報を発信していこうという社会性の大きさ、住民参加を実施しつつ高い審美性を実現していること、そしてサインデザインの可能性を拡大する先進性をトータルで備えていたことだ。「モニュメントはサインか?」といった議論もあったが、意図的に情報をコントロールし、目的とする空間づくりを達成している点で、サインデザインであると判断した。

金賞+地区デザイン賞の「静岡市プラモデル化計画 プラモニュメント」は、地場産業であるプラモデルを巧みに展開しており、ウェルカムサインの新たな形を示すとともにSNSで拡散するなど今日的情報性を持ち合わせている点が評価された。金賞の「千葉大学 医学系総合研究棟サインデザイン計画」は、ピクトグラムに解剖学的観察アプローチを持ち込んだ独創性、造形に動きが感じられる先進性が評価された。同じく金賞の「団地の未来プロジェクト 洋光台北団地エリアリニューアル」は、全国で課題となっている老朽化した団地に、芝を敷きつめた広場や木彫のルーバーを設けることで居心地の良い団地に再生している点が新鮮で、波及効果が期待できる作品であった。

令和3年10月吉日
公益社団法人日本サインデザイン協会
常任理事 武山良三