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公益社団法人日本サインデザイン協会(SDA)

日本サインデザイン協会

公益社団法人日本サインデザイン協会(SDA)は
1965年の発足以来サインデザインの向上と普及を目指し
幅広い活動を続けています。

第54回日本サインデザイン賞募集開始

第54回日本サインデザイン賞募集開始https://sda-award.org/



テーマ:「私が最近涙したこと」 飯田 朗

 

 

 私が保育士の資格を取り、養護施設に勤め始めたころ、父親で飯田看板店の先代が急逝しました。それから2年、お店はうまくいかず、「お店をたたもうか?」と家族会議まで開きましたが、「このお店を残したい!」という一念で全くの素人ながらお店を承継。以来30年間サイン業に携わらせていただきました。その間、飯田看板店はお店から会社に移行し、業務内容も大きく変化しました。今では行政のイベント、コンプライアンスに携わる仕事までさせていただけるようになっております。

 最近のお話ではありませんが、この業界で涙したことが1回だけあります。

今から30年前、この業界に入ってまだ1か月のことです。大手D社の設計部長に呼ばれました。大きな図面を何枚も渡され、看板の設置方法について尋ねられました。建築図面などそれまで見たこともなく、どこに看板の図が書いてあるのかさえわかりません。会議室には設計部長のほかに担当者が5人ほど。みんな不安そうな様子で私の方を見ています。どうしたらいいのかわからない私にしびれを切らした設計部長が、「お前本当にわかるのか?大丈夫か?こんな素人連れてきやがって・・・」と罵倒し始めました。頭の中が真っ白になり、その後の会話はほとんど覚えていません。それからすぐにこの仕事から外され、D社からは全く声がかからなくなりました。

 帰りの車の中で、「今にみていろ!」と心の中で何度もつぶやき泣きました。それ以来、何か仕事で辛いことがある度に「今にみていろ!」と心の中で何度も唱え、常に看板の事を意識し、全国の先輩たちに教えを請いに行くようになりました。今ではD社からも毎月仕事をいただき、設計の方々とも色々と意見交換、アドバイスなどもできるようになっています。

 広告代理店T社のディレクターと名乗る方から「看板屋がデザインという言葉を使うには10年早い!」と、クライアントさんの前で怒鳴られたことがあります。ですが、そのクライアントさんはT社を選択せずに弊社を選んでくれました。デザインを語る方ではなく、弊社のデザインが選ばれたのはなぜなのでしょう。独りよがりかもしれませんが、「今にみていろ!」の精神で今まで貪欲に知識と技術を吸収してきた結果だと思っています。

「今にみていろ!」

決して人前では言わない心の呪文です。