SDA Award

SDA Award2020

日本サインデザイン賞2020年度審査総評

公益社団法人日本サインデザイン協会(以下SDA)が主催する「日本サインデザイン賞」は、2020年度で54回を数える歴史あるデザイン賞である。本年度は春先から新型コロナウイルス感染症が広がり開催が危ぶまれたが、関係者の臨機応変な措置により実施することができた。応募締切日を2ヶ月延期したことで応募総数は315点(昨年度は299点)となった。SDA会員から選出された審査委員で一次審査を実施、入選作品101点、地区デザイン賞37点を選んだ。8月29日、招待審査員7名及びSDA会員から選出された内部審査員5名を加えた二次審査員により大賞1点、金賞4点、銀賞15点、銅賞30点、招待審査員賞6点を選んだ。
リモート会議システムによる二次審査は、充分な議論が行えるか不安であったが、蓋を開けてみると例年以上に活発な議論が行われ、予定時間を大幅に延長する審査会となった。白熱の議論を経て日本サインデザイン大賞・経済産業大臣賞には「駅、街をつなぐ “渋谷サイン”プロジェクト」が選ばれた。渋谷という大きく変貌している街において、案内誘導上究極に厳しい条件を克服し、誰にもわかりやすいサインを実現したことが高く評価された。
大賞と最後まで競い金賞+招待審査員賞(諏訪光洋賞、高橋俊宏賞)を受賞したのが「富山駅路面電車南北接続開業記念事業のプロモーション・サイン」だ。路面電車の南北接続という記念事業を、都市としてのブランドアイデンティティを高めるデザインにまで昇華させたことが審査員を驚かせた。金賞+招待審査員賞(永山裕子賞)の「読書の森 松原図書館」は、周辺にある古墳をテーマとした施設づくりを、建築空間からディスプレイ、個々のサイン、グッズ等に至るまで一貫させたことが評価された。金賞の「アーティゾン美術館 サイン計画」は、シンプルなグラフィックにレリーフ状の厚みをつけLEDを内蔵させて光らせたことに新規性があり、見やすさという機能性も向上させていた。金賞+招待審査員賞(ボー・リンネマン賞)の「カタチとくらし」は、水族館の展示に抽象オブジェを持ち込んだ点がユニークであり、ライトアップされたことで、まるで未来に棲む魚を見ているかのような印象を受けた。
銀賞+招待審査員賞(小林章賞)の「慈恵大学病院 外来棟」は、アルファベットや数字を大きく扱い内側から光らせることでアイコン化しているところが新鮮であった。先端技術を巧みに取り込んだ作品が目立つ中で、銀賞+招待審査員賞(橋本夕紀夫賞)の「新感覚フラワーパーク HANA・BIYORI」は、緑豊かな公園に擬人化したグラフィックを導入、楽しい雰囲気を演出しており和まされた。
特別賞・公益財団法人日本デザイン振興会会長賞は、「北山廣司氏」と「佐藤優氏」が受賞した。北山廣司氏はサインデザインにトータルデザインが必要であることに着眼、近年ようやくその重要性が認識されてきた「プロデュース」をいち早く実践し、サインシステムの基盤を構築したことが評価された。佐藤優氏は、研究者としてサインを学術的に調査研究すると共に、公共デザインの実施者となる行政機関に対して指導・助言を行い、都市景観やまちづくりに関するデザインの向上に大きく貢献、モデルとなるようなサインデザインを行った業績が評価された。

令和2年10月吉日
公益社団法人日本サインデザイン協会
理事 武山良三