何年か前に見た番組で「冬だけ出現するまち」が紹介されました。鹿追町の標高800mにある然別湖(しかりべつこ)に、「しかりべつ湖コタン」(コタンはアイヌ語で村)という名の、1月下旬から3月末まで60日間限定の「春の雪解けとともに湖に沈んでいくだけの村」という内容でした。建物全てが氷と雪だけでつくられたアイスバーや氷上露天風呂が出現します。機会があれば行ってみたいとは思っていましたが、私が住む札幌からはかなり遠く、しかも冬道で自然の多い場所は運転に勇気が必要です。
そんな時、札幌から車で1時間程にある当別町のアイスヒルズホテルが、知り合いのデザイナーが関係していることを知り、2月末までの開催ということで期限間近の2月27日見学会を行いました。このイベントは今年3回目とのことです。日中とライトアップされた場面を見るため、午後札幌を出発し、夕刻には会場であるスウェーデンヒルズのゴルフ倶楽部に到着しました。スウェーデンヒルズは、石狩郡当別町西武の小高い丘にある北欧型建築の家が建ち並ぶ住宅街です。
まずは日中の様子を見ました。冬仕様の自転車に試乗し、全体を見たあと、暗くなるまで時間があったので、スウェーデンヒルズのまちなみを見て、モデルハウスへ行きました。モデルハウスの中は木のぬくもりと優しい暖かさがあり、とても快適でした。まちは、電線が地中下され、広い一戸建の外壁はベンガラ色、とんがり屋根に統一され、雪、空、木々と違和感なく整って見えます。スウェーデンのまちにとてもよく似ているそうです。ここは別荘ではなく住居で、札幌まで通勤、通学しているとのことです。
そろそろ陽も落ちてきたので、アイスヒルズホテルへ再び移動。アイスバーが1棟、滞在型ゲストルームが3棟あり、外壁部分がほんのりと灯り、幻想的な雰囲気は夜の闇と共に色濃くなっていきます。
宿泊者は就寝時、寝袋が与えられるようですが、部屋にはアメニティや温かい飲み物などの準備は無く、寝る以外の用事は徒歩3分程にあるクラブハウスを利用します。そこへの道中は照明がないのですが、月明かりや、札幌方面のまちあかりで不自由なほどは暗くはないそうです。
せっかくの大自然が相手の寒い夜だからこそ楽しめるアクティビティーや、ゲストルームでの過ごし方などにちょっとした工夫やしかけなどがあると、宿泊したい気持ちになるのではと思いました。
レポート:北海道地区担当理事 渡部 純子