第49回サインデザイン大賞受賞者セミナーは、「安川電機みらい館『ロボティクス・サイネージ』開発プロジェクト」で大賞を受賞された、乃村工藝社の荻野健司氏をお招きして、インターナショナル・デザイン・リエゾンセンターにて行われました。
「ロボティスク・サイネージって何?」と思ってSDA賞作品集やSDAホームページをご覧になった方も多いと思いますが、紙面や静止画からこの作品の魅力を理解することは残念ながら難しかったと思います。なぜならこの作品は従来の固定型サインの概念を飛び越え、まるで映画を見るかのような「動きを魅せるサイン」であるからです。
安川電機は産業用ロボットにおいて世界一の技術をもつ会社。
そんな会社が設置する「みらい館」の展示はどのように見せたらその世界的な技術力を伝えられるのか?というところから開発が始まったといいます。
安川電機のもつ「技術の本質を理解」し、それを「人に見せる」ために行きついた結論が、7軸式産業用ロボットアームで46インチモニターを8基同時に連動させ、且つモニターの動画もシンクロさせる、というものでした。
現代のハイテク技術をもってすれば簡単に実現できるのでは?と思いがちですが、ロボットの動きにもそれぞれ個性があったりして、シュミレーションしたものと実際の動きを合わせるのにまず苦労があり、次に個々のロボットの動きに合うように動画や音楽を調整していくという、聞いただけでも気の遠くなるような作業が何度も続いたそうです。
上映コンテンツは8つのストーリーから成り、普段の工場見学では3分のダイジェスト版が見られるそうですが、本セミナーにおいては6分のフルバージョン版を見せていただきました。どのストーリーも単なる動画ではなく、「技術」を五感で感じてもらうために工夫してつくられており、実物も是非見てみたい!と思わせるものでした。
質疑応答時間には、皆さんの「もっと知りたい」という気持ちを代弁するかのように定村会長がコーディネーター役に扮してくれて、プロジェクトスタッフの方からも苦労話を聞き出してくれるという良い意味でのパプニングもあり、大いに盛り上がって閉幕となりました。
去年に引き続き今年もデジタルサイネージが大賞を受賞したことで、サインが持つ価値の幅が確実に広がっているのを感じたセミナーでした。
開催日時:平成27年12月4日(金)16:00~18:00
参加者:60名
レポート:関東幹事会 竹内征也