関東地区 大賞セミナー報告

2020221日(金)日本郵政株式会社にてサインセミナーを開催しました。

今回のセミナーは第53回 日本サインデザイン賞の大賞・銀賞を受賞された平手健一氏をお招きし、普段は入ることができない日本郵政新社屋の中の3つのポイントを見学しながら作品の解説やプロジェクトに込めた思い、裏話などについてお話しを伺いました。

最初のポイントは大賞を受賞した応接室、切手をモチーフにした3つの巨大天井画のインパクトが訪れた人を新しくなった郵政ワールドに引き込みます。天井画は最小単位を切手サイズとしたピクセルパターンで構成されており、細密なフィルムの集合体ということにまた驚かされます。平手氏からは天井設備との調整に苦労したお話し、また ガラス貼りの応接ゾーンはビルの外を歩く人からも視認でき、コーポレートカラーの3色で構成した切手の天井画は、街に対して日本郵政を発信するサインとしての機能も持たせているとのお話を伺いました。

次のポイントは銀賞を受賞した会議室、日本郵政の支社数と同じ13部屋ある会議室のガラススクリーンや壁に大胆に展開されているグラフィックは、各支社が所在する都道府県の形をモチーフとしており遊び心満載、更に近づいて見ると細かな数字の集積で構成されていることが判る。郵便番号である。平手氏の解説でこのデザインは全国の郵便番号を調べあげて、例えば北海道の形をモチーフにしたグラフィックの札幌部分は札幌で実際に使用されている番号が使われており、気の遠くなるような作業の元で成り立っているとのお話を伺い、思わず感嘆のため息がでてしまいました。

最後のポイントは食堂、この空間は三角形をモチーフとしたグラフィックで統一されており、これは旧社屋 逓信ビルの特徴であった三角形状へのオマージュであり、歴史の継承をテーマとしているとの事。連なる柱には社史トピックスがグラフィカルに展開されており、これからの会社を創っていく社員がリフレッシュしてコミュニケーションを図る空間に会社の歴史が寄り添っているアイデアがすばらしいと感じました。

最後に平手氏から今回のプロジェクトは「日本郵政らしさ」をコンセプトとし、建築と融合したサインやグラフィックでアイデンティティを表現し、またそれらが利用する人々のコミュニケーションを仲立ちし、気持ちを繋いでいく装置でもあるとのお話を伺い、なるほどなと腑に落ちた思いでした。

私が今回見学した3つのポイントで共通して感じたことは、来館者を楽しませる、またここで働く人が自社に誇らしい思いを抱けるアイデアや仕掛けが満載で、ビックリした後に笑顔になり会話が弾みコミュニケーションが深まっていく、それを実感していたからです。

そしてもう一つ強く感じたことは、それらのアイデアを具現化させる為の平手氏の情熱や執念とも言えるような強いこだわりです。すばらしい結果はすばらしいアイデアと共に地道な努力の積み重ねであることを改めて思い知らされ、今回のセミナーに参加してとても刺激を頂きました。

平手様ならびにご協力頂いた日本郵政株式会社 斎藤様はじめ皆様、ご参加頂いた皆様、誠にありがとうございました。

 

 

関東地区 渡辺 武

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