北海道地区 関東地区合同東京築地市場見学会を行いました

日時:平成28 年10月15日(土) 10:00 〜 13:00
参加者:9名

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平成28年11月に築地市場が老朽化のため豊洲に移転することを受け、その前に是非、活気溢れる状況と施設のサインの現状を視察したいと北海道地区・関東地区合同で行いました。築地市場は、まさに日本・世界最大級の市場です。1935年(昭和10年)に開設された面責約23ヘクタール、7つの卸業者と約1000もの仲卸業者によってセリが行われているところです。

この企画は、春頃より北海道地区の事業計画の一つとして検討していたものですが、現地に不慣れな点を関東地区の方々にアテンドしていただき行われました。正直、企画当初「豊洲問題」が起こり、移転がこれほど話題になるとは思いもよらなかったことです。

当日は、地下鉄大江戸線築地市場駅に集合し、2班に分かれて行われました。新大橋通りに面している築地市場の正門から入り、水産仲卸業者市場から青果仲卸市場、魚がし横丁を通り、場外市場を見学。広大な敷地に整然と配置された仲卸業者売場ですが、各店舗が長年使い勝手のいいように工夫を重ねた売場なだけに、それぞれが複雑な様相を呈しています。作り付けた棚や所狭しと置かれた冷蔵ケース、積み上げられた箱の数々。ただそんな中、様々な大きさで掲げられた店名サインは、白地に力強い墨文字で書かれたもので、環境に心地よいリズムを作り、より活気を感じさせるものでした。どれも堂々として信頼を感じさせます。

更に観光客で賑わう場外市場では、個性豊かなサインが溢れ、店の特徴をこれでもかと言う程演出している様は圧巻です。白地のトタンに筆文字の店名、屋号を染め抜いた暖簾や色とりどりのテント、はためくのぼり。どれも年月を感じさせ、その場にしっかりと馴染んでいます。店頭で趣向を凝らした商品陳列の店が立ち並び、通りを歩いているだけでワクワクします。日常がお祭りのようで、店先を見ただけで購買意欲がそそられます。

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特に商品に添えられた手書きのプライスカードが実に魅力的。私の専門はディスプレイデザインですが、ビジュアル・マーチャンダイジング(略してVMD)の観点から見て、売場に合った見せ方に好感が持てました。VMDとは、視覚的効果により商品を買っていただく手法のことです。「ウチのこだわり商品、買ってください!」というメッセージが伝わってきて、カードに書かれた説明書きを思わず読み込んでしまいます。なんだか店主が書いている姿が目に浮かぶようです。きっちりとパソコンで作られたそれが添えられたものよりも「お値ごろ感」が感じられて、商品自体が「良いもの」のような気がしてしまうので不思議です。

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場外市場の賑わい感は、品数の豊富さを訴える売場作りもさることながら、この手書きのプライスが店の性格をダイレクトに伝え、その効果の一役を担っていました。これは、当日オープンした新しい商業施設「築地魚河岸」の統一されたフォントで作られたサインやPOPからは感じられないVMDです。店側の「お客様に伝えたい気持ち」が売場作りに反映されているという生きた教材でした。

もう時期、築地市場は移転することになると思います。新しく整備された施設には、わかりやすいサイン計画、揃えられた什器。ただ、そこに使う側の営みがある以上、やがて徐々に変化していくことでしょう。売場は生き物です。それがどれくらいの年月で、どのように変化していくのか、それを見ていくのが楽しみです。

最後になりましたが、関東地区の皆さん、
今回の見学会実施にあたり内容の検討や事前調査までしていただき、本当にありがとうございました。
この場をお借りして御礼申し上げます。

レポート:北海道地区 千葉淑子

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