1966年から2005年までの解説は関西地区会員の久保さんより、40年にわたる膨大な資料を簡潔にピックアップしてくださり、当時の時代背景と作品の傾向など、とても興味深いお話を聞かせていただきました。特にSDA賞の応募分類の変遷や、賞のルール、種類などが時代によって常に変化してきたことが分かったこと、様々な分野のデザイナーがSDA賞に参加、入賞していることも知ることができ、とても面白く感じました。サインの形状も筐体をしっかりつくっているものが目立ち、ネオンサイン全盛の時代からLEDに移行してゆく流行の流れ等、様々な新しい技術がサインデザインの方向性を変えてゆくこともわかり、今後の仕事のヒントになることもたくさん学べました。
2006年から2016年は関西地区代表幹事の川西さんより、短い時間のなか近年のサインデザインについてSDA入賞作品を中心に、当時の時代背景や流行語を交えながら、楽しい切り口でとても分かりやすく解説していただきました。近年の10年は特に世の時流がサインデザインの方向性を特徴付けているということ、色彩の使い方、フォントやピクトグラムのオリジナル性が評価に大きく関わっていることなどが印象的でした。サインに使われる材料はどんどん軽くなってゆく反面、グラフィックの質が高まり、デザインコンセプトの評価も受賞対象に大きく影響することがわかり、サインデザインのトレンドに対する理解がより深まりました。
気がつくとセミナーの時間は2時間40分を超えていましたがあっという間で、50年分のSDA賞を語るにはまだまだ時間が足りない、もっとお話しを聞いていたいと感じました。
セミナー後、近くのワイン博物館で交流会が行われ、今回のセミナーに携わった方々を中心に集い、苦労話や面白話をつまみに美味しいお酒をいただきながら親睦をはかることができました。
昨今グラフィックやインダストリアル、インテリアや商空間等、様々なデザインの分野でのアワードが行われていますが、今回のセミナーではSDA賞の歴史を紐解くことで改めて「サインデザイン」という分野の奥の深さを知ることができ、またこれからのサインデザインの50年はどうなってゆくのかと考えるよい機会となりました。
セミナー開催にあたり講演頂いたお二人をはじめご協力頂いた関係者の皆さまに深く感謝するとともに、この地区研究会を質の高い学びと交流の場としてもっと広げてゆければと思います
関西地区 馬田由貴