山田晃三

だるまの言の葉 みんなのエッセイ
山田晃三

Kouzou Yamada
月影デザインコンサルティング
関東地区

60年目の、サインの役割

 

はじめて「サイン」に向きあったのは1985年、31歳のときだった。GKに入社して6年目、愛媛県の「動物園」のサインを担当することになった。開業まで3年。が、これが自分のサイン人生を変えた。サインは仕事としてやるものだ…と臨んだのだが、サインはそんな簡単な話ではないと、彼らから教わった。サインがなぜ大事なのか。言語を持たない彼らには、サインを発し、サインを読むしかないのだ。その容姿、表情、動き、声、匂い、生き続けるには、このあらゆるサインを駆使するしかない。とくに配偶者との出会いには全身全霊で臨む。ここで気づいた。ヒトは言語と道具を獲得して強大な人間社会を築き上げたが、ことは複雑になる一方だ。AIや仮想空間がさらに拍車をかける。この複雑で混沌とする未来へ立ち向かう真の力は、「サインの原点」をいまにして見直すことではないかと悟った。還暦を迎えたSDAの役割は、仕事としてのサインはもちろんだが、次の世代の人たちに、生き延びるための、いや出会いのためのサインを、伝授することではないか。