ご挨拶

ご挨拶

日本サインデザイン協会60周年記念事業に向けて

このたび、日本サインデザイン協会(SDA)は創立60周年という節目の年を迎えることとなりました。ここに至るまで、サインの可能性を信じ、日々の実践を通して支えてくださった多くの会員の皆さま、関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。

1965年、SDAの前身である日本サインデザイナー協会が発足した当時、サインは「ネオンサイン」に象徴されるように、屋外広告物としての商業的な役割が強く、日本の戦後復興を象徴する存在でもありました。しかし同時に、サインは都市の景観と密接に関わるものであり、その「デザイン」の意義がすでに社会から問われはじめていた時代でもあります。

以来、SDAは商業施設にとどまらず、空港・鉄道・道路といった公共インフラを含め、あらゆる空間におけるサインの社会的役割を見つめてきました。今日では、医療や教育、景観やまちづくりに至るまで、サインの重要性が語られる場面は広がっていますが、一般の人々にとってその本質や意義が十分に知られているとは言い難いのが現状です。

そして、経済の長期低迷に加え、東京オリンピック2020への期待も、新型コロナウイルスの世界的流行により大きく揺らぎました。社会活動は停滞を強いられ、私たちの日常も大きな転換点を迎えることとなりました。それらを経て、働き方や情報の扱い、コミュニケーションの手段は劇的に変化し、デザインそのものの在り方にも新たな視点が求められています。

こうした変化のただ中にある今だからこそ、サインのこれまでの歩みを見つめ直し、これからの時代におけるサインデザインの可能性と使命を考えていきたい——そうした思いから、SDAは60周年記念事業を企画しました。

「伝える」「つなげる」というサインの本質的な役割を、デザインの専門家に限らず、多くの方々と共有し、未来へとつなぐ機会となることを願っています。
どうぞ、サインの魅力と可能性を、存分に体感していただければ幸いです。

公益社団法人日本サインデザイン協会
会長 竹内 誠