Nobuko Tadai
株式会社六耀社
関東地区
『年鑑日本の空間デザイン』は2025年で53冊目を数え、SDAが本年鑑に掲載を始めたのは11冊目の1984年版(1983年刊行)からです。私が年鑑の編集担当として、年鑑に関わるようになったのは2008年からになります。ただ、その前も校正にだけ関わっていたことがあり、今でも関わり始めた頃のSDA大賞「K-MUSEUM」「梅田病院サイン計画」「広島電鉄“グリーンムーバー”カラーリングデザイン&デビュー計画」などが印象に残っています。
サインデザインというと、一般的には、駅や街の案内、公共施設の案内などという認識がまだ強いのではないかと思います。私も関わり始めた当初は、そういった域を脱していなかったと思います。が、編集でさまざまなサインデザインに出合い、建物それ自体、都市のシステムといった広範囲なデザイン……その領域の広さや奥深さに驚くと同時に、次はどんなデザインが登場するのか、SDA賞に選ばれた作品にいつもワクワクさせられています。
2021年に刊行された年鑑の巻頭文で、総合地球環境学研究所所長の山極壽一氏が「人間の五感の中で、他社と共有できる感覚で視覚・聴覚はもちろんだが、人間が信頼関係を築くには、残る臭覚、味覚、触覚のほうが重要だ」と書いていました。サインデザインにも、そうした感覚に訴えるものが出てきたらどのようなものになるのだろうかと思いを巡らせたりしています。
60周年を迎えられ、これからのサインデザインの広がりに、大いに期待したいと思っています。

