渡辺太郎

だるまの言の葉 みんなのエッセイ
渡辺太郎

Taro Watanabe
有限会社エモーショナル・スペース・デザイン
関東地区

酒場のサイン感

協会に入会したのは1996年頃だと思うので、もう29年も前、まだ血気盛んで連日徹夜も平気な若者だった頃だ。入会した動機は色々とあったが宮沢さん、赤瀬さん、横田さんといった当時サインの世界の先駆者と話をしてみたくて受賞のタイミング(当時はSDA賞を受賞し二人の推薦人がつかないと入会できなかった)で即刻入会を申し込んだ。関東地区の幹事会に参加し毎度その会の後に呑みに行く。。。これは楽しい楽しい時間だった。当時幹事会の中心メンバーだった井原さんや斉藤さんの経験に基づく良い酒場の見極め方(まるで吉田類の酒場放浪記。。笑)店先の赤提灯や暖簾や打ち水、格子戸を開けた時にまずチェックする白木のカウンターの上の調味料類の掃除具合や配置、常連さんの空気、ぼーっとしていると見逃してしまう空間に溢れている情報 = 『良い酒場のサイン感』を読み取る感性を教えてもらった。

自分は今、この歳になって若い人に何を教えてあげられるのだろう? 酒場のことだけでなく多くの色々な『サイン感』を教えてくれた先人に心より感謝する次第である。