Kyoko Kaneda
アトリエ景株式会社
関東地区
50周年をやったのがつい最近のことみたいに感じていたら、気づけばもう60周年。10年って思っている以上にずっと速い。この間、世界は大きく揺れた。まさかのパンデミックで当たり前だった日常があっさりとひっくり返り、AIは未来の話じゃなくなり、世界のどこかでは争いが絶えないままだ。
そんな不安定な時代にあって、SDAが60年目の節目を迎えられたのは、決して当たり前のことじゃないと思う。先日、自分が入会したのがいつか調べてみたら、1990年だった。なんともう35年近く関わっていることになる。当時は、勤めていた会社が半ば自動的に加入させていたんだろうけれど、正直、そのころは活動に深く関わった記憶はほとんどない。
そんな自分がここまで長く続けてこられたのは、独立して時間の使い方が自由になり、肩書きや組織の枠をいったん外したときに、SDAという場があったからだと思う。
SDAにはサインに関わる人たちが集まって、真剣に、一生懸命に、でも自然体で動いている。SDA賞という大きな事業もあれば、地方での地道な取り組み、視察や研究などの積み重ねもある。どれも「自分たちで動かしている」という実感があって、誰もが参加でき、利他の精神も息づいている。決して世渡り上手じゃないけど、サインを通じて社会と関わりたい、そんな人たちが集まっている。
だからSDAは単なる業界団体というより、「サインを愛する人たちのコミュニティ」なんだと思う。誰かが主役になるでもなく、ひとつの価値観を押しつけるでもなく、それぞれができるかたちで関わりながら、60年の時間を紡いできた。不器用で、社会への貢献としては地味で目立ちにくいかもしれないけど、それも「サインデザイン」そのものの姿かもしれない。
60年を超えて、100周年のときにも、ここにはサインデザインを大切にし、社会と誠実に向き合う人たちが集まっていてほしい。たとえメンバーの半分がAIになっていても、熱量だけはSDAのDNAとして変わらず残っていてほしい。そう願っている。その未来を実現するために、自分なりのやり方でこの場を大切に見つめ、つないでいきたい。

