伊藤千織

だるまの言の葉 みんなのエッセイ
伊藤千織

Chiori Ito
伊藤千織デザイン事務所
北海道地区

私のSDAなれそめ縁起〜『八人塾』の思い出

そもそもサインデザイナーでもない私が、なぜSDAに入会することになったのか。

そのきっかけは、2010年の札幌を皮切りに、2014年まで全国各地で開催された巡回セミナー「八人塾」だ。 横田保生・渡辺太郎・宮崎桂・山田晃三・定村俊満・武山良三・竹内誠・島津勝弘各氏を塾長に、2日間にわたってサインにまつわる8つのデザイン塾を開講。キャッチコピーは「8人のあつい塾長によるプロフェッショナル塾」。 その記念すべき第1回が札幌で開催されるという。デザイン年鑑で見かけるあの方もこの方も。キラ星の如き業界の現役プレイヤーが大挙して。 かねてからサインデザインに密かな興味を抱いていた私は、松竹顔見世興行か!と見紛う豪華すぎる講師陣に半ば目眩を覚えながら、友人のデザイナー・千葉淑子さんを誘ってワクワクしながら参加したのであった。

当日、札幌会場はなかなかの熱気。朝から夕方までびっちりと、サインシステムの理論から、実務でのディテールの収まり、猿のお尻が赤い理由まで。日頃地元では聞けない知的好奇心を揺さぶる内容は、「サインをやってみたい!」と鼓舞されるには十分な、高密度な2日間だった。 その夜、講師と参加者を交えてサッポロビール園にて開催された懇親会の席で、私のテーブルには山田塾長。生ビールジョッキを片手にジンギスカンをつつきつつ、まだ熱い初日の感想を述べたところ、「じゃあ、SDA入っちゃいましょうよ」との軽〜いタッチの勧誘に、「あ、はい!」とこちらも軽く応えて、うっかり入会(勢いって大事)。今となっては、SDAの戦略にまんまと引っかかった感があるが、それも嬉しいご縁として今に至る。

さてその後の「八人塾」、四国での第2回を直前に控えた3月11日、東日本大震災が起こるなど紆余曲折もありつつ、東京・大阪・福岡はじめ全国7ヶ所を巡回実施されたと聞く。これだけ大掛かりなツアーを完遂した、SDAの運営チームの熱意に敬意を表したい。人と人との対面が化学反応を生み出していた、ビフォー・コロナのいい時代だったと、オンライン全盛の今だからこそ懐かしく感じられる。

余談になるが、入会して初めてSDAがとんだウワバミ集団だと知った。Sign Design Associationは世をしのぶ仮の姿で、その実Super Drinkers Associationの略であるという私の主張は、今もって変わらない。なにはともあれ、60周年に乾杯!