Yasuo Yokota
横田デザイン研究室
関東地区
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SDAが創立60周年を迎えた。僕が入会してからも40年が経った。この間日本のサインデザインは発展して独立した事業として認められるようになり、それを牽引してきたSDAも民間非営利法人の最上ステイタスを得て現在に至っている。しかもこの活動がボランティア精神に支えられ維持されてきたことを思うと、諸先輩の努力に敬意を表し、この流れに参加できたことを誇りにも思う。
とは言え、サインデザインはまだ新しく、基盤になる学問もなければ、良い批評環境も揃っていない。だから、自分たちで考えていかねばならないし、外部からの助言があれば耳を貸すのが良い。60にして耳順うだ。
そもそも、記号学の創設者C.S.パースは100年以上も前に人間の思考そのものが記号(サイン)の連鎖であるといった。つまりあらゆる認識や思考はサインによってなされると既に説いていた。 SDA創設時のサインデザインの主体はネオンや屋外広告であり、記号論をなぞってサインデザインの対象は人間が認識するすべてのものであると言うには乖離が大き過ぎただろう。せめてこれらを情報の観点から本体か媒体かに分けて分類することで将来に備えたことがわかる。それ以後サインデザインについての解釈は試みられるが、現実が進化拡大しているのだから満足な定義がされないままだ。
しかし、周年事業ではサインデザインの新たなる方法論や定義に関する心に残る名言がある。これらの実践は宿題であったと受け止めているが、折角なので改めて紹介しておきたい。
40周年記念セミナーで松岡正剛氏は言った。 「サインが識別だけを表しているとすると勿体無い。サインをどう見せるかが重要だ。そのためには環境に物申して見る側の動機や意識の立ち上がりのところからサインは作るべきですね」そして枕詞や能舞台の松の設えを例に日本の情報伝達では気配や気色を感じるところから間を作ることが大切であることを示された。
50周年記念刊行物「伝えるデザイン」で武山良三氏は次のことを書いた。 理性的判断に対して言葉や文字を用いたコミュニケーションは有効だが、感覚的判断に対してはノンバーバル(非言語)コミュニケーションが有効。サインはこれを組み合わせて表現するデザイン分野である。そのためには文字・図記号・配色の知識、素材やその加工法、ライティング、建築の収まりからランドスケープの知識までが求められる—としている。
さて、60周年記念事業ではサインデザインについてのどんな名言が出てくるか、楽しみだ。
SDA創立60周年おめでとうございます。

