中西あきこ

だるまの言の葉 みんなのエッセイ
中西あきこ

Akiko Nakanishi

関東地区

贅沢な制作体験
 
SDAでは主に出版事業の活動をしています。
 
『年鑑日本の空間デザイン ディスプレイ・サイン・商環境』(六耀社発行)刊行委員は6年目になりますが、やりがいを感じています。年鑑はDSA・JCD・SDAのデザイン3団体による共同刊行(2024年まではNDFが関わる)で、日本空間デザイン賞・日本サインデザイン賞のデザインアワードの受賞作品を掲載しています。
 
制作は1年がかりです。春夏に空間デザイン機構の理事会、各団体の刊行委員と六耀社の刊行委員会を開きます。このうち刊行委員会は年5回ほど開催。昨年を振り返り今年の構想を立て、巻頭文執筆者と特集の選定を行い、台割の検討、装丁デザイナーの選出および装丁デザインを決定します。この間、応募作品の審査と選考が進み、各賞が決まると、デザイナーとともに掲載写真を選んで、大賞者にはインタビューを実施。その後、レイアウトチェック等を経て12月に刊行を迎えます。
 
出来上がった本を手に取ると重厚感たっぷりです。厚さ約3センチ、400ページに及ぶハードカバー。箱や帯、表紙のデザインや全ページのインデックスにこだわり、写真を多数掲載したオールカラーの書籍です。今の時代に、こんな贅沢な制作体験が味わえるのかと毎回ワクワクします。この工程を52年間たゆまず続けてきたというのも驚くべきことです。サインはなかなか現物が残らない分野と言われますが、少なくとも年鑑が形になればアーカイブとして残る。SDA60年の節目もきっとページに刻まれることを信じています。    (中西あきこ/文筆家・フォトライター)