SDA AWARD2024
日本サインデザイン協会(SDA)が発足して今年で60年を迎える。第1回のSDA賞募集が行われたのが発足1年後とのことなので、今回で第59回のSDA賞ということになる。今年の最終審査会では、例年以上に多くの議論が交わされ、優れた作品が選ばれたことについて応募された皆様、審査員の皆様に感謝を申し上げたい。
今回日本サインデザイン大賞・経済産業大臣賞となった「共英製鋼山口事業所新事務所棟」は鉄スクラップを鉄鋼製品へと再生する電気炉メーカーのオフィスビルである。我々はサインというものを自然現象から建築、空間領域まで広くサインと捉えてきたが、本作品は建築の外部、内部を通じて、力強く企業のメッセージ(=サイン)がデザインされていることに感銘をうけた。
また、今年の話題としては、やはり大阪・関西万博であろう。「日本館サイン・展示グラフィック」では展示が建築空間と一体となり、再生や循環といった営みが生命と共生する必要性を未来へのメッセージとして発信。NTTパビリオンの「ふるまいが紡ぐサイン」では来場者の顔の表情を読み取り、ファサードが脈うち、音を放つといった、インタラクティブな空間表現となっている。高度に進化したテクノロジーが行動や感情を読み取り、新たなサインのあり方を示したものとして大変興味深いものであった。
同じ展示空間であるが「mt SUPERGRAPHICS」、「GOOD DESIGN EXHIBITION」、「Sony Park展」などは従来の展示空間として、これまで何度か上位入賞を果たしてきているいわばアナログ的なシリーズ展示なのだが、コンセプトを変え、常に感動を呼び起こすハイクォリティーな作品として、改めて評価される作品であった。
展示以外では、「ホーバーターミナルおおいた」「南阿蘇鉄道高森駅・交流施設」など交通インフラに関わるサインも高い評価を得た。
こうして各賞が決まってくると、店舗のサインから、展示、建築施設、オフィス、公共インフラなど60年経った今、多岐にわたってサインが活躍していることが見て取れる。
また、日本サインデザイン特別賞・日本デザイン振興会会長賞には「『忠犬ハチ公銅像』の渋谷シンボルとしての貢献に対して」と「五十嵐威暢氏のサインデザインとパブリックアートに関する活動と功績に対して」の2点の受賞が決まった。忠犬ハチ公銅像については誰もが知る渋谷のシンボルで、その存在と物語は、多くの人々が記憶するところである。また、五十嵐威暢氏はデザイナー、彫刻家、教育者として、多くの功績を残すも、残念ながら本年2月に鬼籍に入られた。サントリーのVIやPARCOのサインなど、こちらも多くの人々の記憶に残っている。
私たち日本サインデザイン協会は、この60年を通じて、多くのことをこのSDA賞から学んできた。これらの記憶や記録をまた次の世代に繋げ、豊かな社会づくりに貢献できることを期待したい。
公益社団法人日本サインデザイン協会
会長 竹内 誠
