平和の軸

日本サインデザイン大賞

株式会社博展:高橋匠

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所在地
神奈川県
クリエイティブディレクター
Panoramatiks:齋藤精一
プロデューサー
Panoramatiks:山口望未
デザイナー
株式会社博展:高橋匠
プロデューサー
株式会社博展:高橋広樹
プロデューサー
株式会社博展:河野俊太郎
施工者
株式会社博展
クライアント
横須賀市
撮影
株式会社ナカサアンドパートナーズ:荒井章
撮影
こじまぽん助

応募者コメント

第二次世界大戦中、「砲台」として使用されていた横須賀市立平和中央公園に天に光を放つ「光台」を平和のモニュメントとして設計した。横須賀の風景には光の柱が加わり、忘れかけた平和への想いを日常の中で思い出すことができる。また災害時でも点灯し、広域避難地の公園へ市民を誘導する印となる。モニュメントの天井や中央の円柱には、多くの円が施されている。円には古くから「無限、永遠」という意味があり、永続的な平和の願いを込めて市民の方々に描いていただき、一つ一つ天井や円柱に刻んだ。日中は天井の円から日光が降り注ぎ、夜間は光の円で満たされ、世界中の平和の言葉が浮かび上がる。平和を感じ、平和を思い出すモニュメントとして人々に愛されることを切に願っている。

審査評

大賞作品「平和の軸」は、東京湾を見下ろす横須賀市立平和中央公園に設置されたモニュメントである。横須賀市では、長年世界の恒久平和を願う取り組みを行って来た。1992年には同公園に平和モニュメントを設置、翌年には「核兵器廃絶・平和都市」を宣言した。「平和の軸」は、先のモニュメントが老朽化に伴い撤去されたことから新たに計画され、2021年に竣工、4月21日に点灯式が行われた。 計画は、設置場所が第二次世界大戦中に砲台として使用されていたことなど、歴史的な経緯を踏まえて練られた。市民のためのモニュメントということで、市民参加型のワークショップを行い、思い思いに描かれた円から無数の穴を開けたパネルを作成した。このことにより昼間は太陽によって変化する影をつくり、夜間は照明により幻想的な光のオブジェをつくり出している。光を用いることで、造形物に止まらず平和への想いをシンボリックに表現することに成功している。 横須賀は、明治以降軍港として発展し、戦後は原子力艦船が碇泊する港になった。平和に対する並々ならない願いにはこのような背景がある。強い想いは得てして過度なデザインになりがちであるが、「平和の軸」はその想いを強固な軸としつつ、造形はあくまで簡素に留め、明快にまとめている点が秀逸である。光を主役にすることで見る人がそれぞれの解釈で向き合えるようにデザインされており、公園全体を特別な空間にしている点が高く評価された。(武山良三)