SDA賞特別賞

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主催
国際交流基金
共催
駐日ブラジル大使館、石巻ふるさと復興協議会、Tokyo Ghetto Guide Project
グラフィティ・アーティスト
チチ・フリーク

特別賞ー受賞に寄せて

本事業は(独)国際交流基金が、駐日ブラジル大使館、石巻ふるさと復興協議会、Tokyo Ghetto Guide Projectの協力を得て2011年冬から2012年春にかけて実施したプロジェクトです。普段は国際的な文化交流事業を企画・運営している組織が、未曾有の災害を前に何が出来るか、そんな思いで入った被災地は、「今ここに本当に必要なのは文化なのだろうか」と自問させられる状況でした。しかし、仮設住宅の住民の方々との交流を重ねるうち、そこで必要とされている住民同士の交流や、無機質な建物に彩りや個性を与えるといったことのために、国際文化交流が少しでもお役に立てれば、という気持ちに変わっていきました。

今回駐日ブラジル大使館を通じて紹介されたのがチチ・フリークというグラフィティ・アーティストです。日本ではまだ「落書き」のイメージがあるグラフィティが東北で受け入れられるかどうか不安でしたが、アーティスト自身の前向きな気持ちや、気取らないやさしさが滲み出た画風が、自室に篭りがちな住民の方々を屋外に導き、大きな魚の絵の前で、「これはシャケだろ」、「いやマスだ!」といった議論を始めさせました。また、「そっちの(建物の)魚より、うちのひまわりが一番!」といった、「自分の家」への思い入れを芽生えさせることにも繋がりました。さらに全くの偶然ではありましたが、日系三世であるチチ・フリーク(本名:ハミルトン横田)の祖父母は移民船「笠戸丸」で初めてブラジルに渡った日本人。そのお孫さんが暑い国からやってきて、寒風吹きすさぶ中、懸命に作業している姿は、関係者をはじめ、多くの住民の方々の心を打ちました。

復興という長い長いプロセスのなかで、本事業が果たした役割は本当に小さなものです。今回のSDA特別賞の受賞は、事業の主催者としてもちろん大変光栄なことではありますが、震災の記憶を風化させないためにも、これが、我々のような文化にかかわる個人・団体にとって、あらためて被災地の未来に目を向けるきっかけに繋がればなによりです。