第55回日本サインデザイン特別賞

西川潔氏のサインデザインに関する教育活動及び普及啓発活動の功績に対して

特別賞受賞理由

西川潔氏は、ビジュアルデザインの基礎理論からサインデザインの実践的研究・制作に至るまで数多くの業績を残している。良好な景観形成に向けて「広告景観改良のための屋外広告設計指針策定に関する研究」等に取り組むとともに、世界各国の主要都市における屋外広告について研究を進めて来た。その成果は著作物や国内外の招待講演等で発表しているが、監修・執筆を務めた『屋外広告の知識2・デザイン編』は、各地の行政が実施している屋外広告物研修会の教科書として使用されている。つくば市ではサイン計画を担当、十数基が設置されている。継続的で体系的な活動は、次世代デザイナーの育成にも大きな貢献を果たしていることから特別賞とした。


  • この度は立派な賞をいただき恐縮しております。高橋正人先生の下で造形を学んだ私がサインと関わるようになったのは、師であり先輩であった勝井三雄氏のおかげです。彼は卒業したての私を京都信用金庫のデザインプロジェクトに誘ってくださいました。会議は川添登氏がまとめ役で、菊竹清訓事務所とGK、勝井事務所が参加しており、勝井事務所はグラフィック、色彩、サインを担当しました。用語の理解も滞るなか、極度に緊張した記憶は今も鮮明です。しかし異分野との協働に強く魅了もされました。ケヴィン・リンチやルドフスキーを夢中で読んだのはその頃です。人の月面着陸が成功し、わが国は戦後の急激な発展に一区切りし、各地で公害が顕在化しはじめ、「環境
    が意識され始めました。やがて1年間の欧州巡りに出、その途上で、母校から呼ばれ、定年まで筑波大学で教育と研究に携わりました。そこには建築や環境デザイン分野もあって共同研究が可能でした。特に建築計画学の栗原嘉一朗教授には図書館や病院建設に関わる機会を与えられ、ながく指導を受けました。時を経て、研究対象も環境色彩やシェアードスペースへと広がり、つくば市サイン計画ではアートを組込み、山本早里教授と共にデザイン学会の作品賞を戴きました。「公共の色彩を考える会」では、小池岩太郎氏に商業看板も研究の対象にと促され、屋外広告にも関わるようになりました。振り返えれば、やや主体性に欠け、残せたものも僅かですが、出会いには恵まれました。皆さま、ありがとうございました。

    西川 潔

  • つくば市サイン計画2009


  • 大阪市立総合医療センター サイン計画1993


  • 創立30周年記念に建設の筑波大学シンボルゲート2002


  • シェアードスペースの試行 筑波大学キャンパス2011


  • 著書:サイン計画デザインマニュアル 2002


  • 著書:広告景観2015





西川潔(にしかわ きよし)Kiyoshi Nishikawa
1946年生れ。筑波大学名誉教授、博士、日本デザイン学会名誉会員他。 
東京教育大学卒業、同教育学研究科修了。筑波大学教授、同副学長、茨城県景観審議会委員、守谷市景観審議会会長、屋外広告士資格認定委員他を歴任。『広告景観』、『屋外広告の知識・デザイン編』(監修)、『サイン計画デザインマニュアル』、『ビレッジサイン』(共著)他。筑波大学図書館サイン計画(SDA賞)、筑波大学学生宿舎色彩計画(公共の色彩賞)、大阪市立総合医療センターサイン計画他。