Paul Mijksenaar 特別セミナー開催しました

Natural wayfinding;a world without signs ?
自然な道案内;サインのない世界

講演者:Paul Mijksenaar
開催日時:平成28年4月11日(月)16:00〜18:00
開催場所:東京ミッドタウンデザインハブリエゾンセンター
主催:公益社団法人日本サインデザイン協会
協力:公益社団法人日本デザイン振興会
参加者:127名

ポール・マイクセナー氏の概要
1944年オランダ生。サインデザイナー。デルフト工科大学、アムステルダムの「トータルデザイン」事務所を経験後、1986年にウェイファインディングに特化した個人事務所開設し、スキポール、ニューヨークJFK、ワシントン・ダレス、ジュネーブ、ナポリ、サンパウロ各空港サインデザイン、オランダ国鉄、アムステルダム地下鉄、ロッテルダム地下鉄、カタール地下鉄、スコットレイル等のサインプロジェクトを手がける。その他、イケアストア、美術館、博物棺、病院、大学など世界中のプロジェクトにおいて、現在も活動中。

Natural wayfinding;a world without signs ?
自然な道案内;サインのない世界

Intuitive way finding. 
From no signs to signless.
直感的なウェイファインディング
サインのない時代からサインレスへ

関東セミナー2

「直感的なウェイファインディング-サインのない時代からサインレスへ」とセミナータイトルを変更されて、ポール・マイクセナー氏の講演は始まった。

 サインの全くなかった時代の欧州。街壁に囲まれた街のウェイファインディングはどのようなものであったか。歴史的都市空間の成り立ちからウェイファインディングを紐解く。街が次第に街壁の外へ増大し、移動手段が変化すると、通り名や行き先を示すボードが現れ、今日に通ずるサインとなる。

関東セミナー1
What is wayfinding?
ポール氏は、自身のプロジェクトであるLaGuardia Airportや Frankfurt Airportのインフォメーションフローチャートを例に挙げ、ウェイファインディングを構築する上で重要なポイントを具体的、かつ明瞭に、そして、我々サインに関わる聞き手が共感できるいくつかのポイントを外すことなくユニークに解き明かした。

関東セミナー4
What is stress ?
氏は、ウェイファインディングを構築する上で、認知心理学や、行動とストレスの関係も深く研究されている。家を出てから、飛行機が離陸するまでストレスの変化。エキサイティングなワクワクとした刺激は、時間の経過と共に、(他ストレス要因の果てに)ストレス刺激と変化しウェイファインディングを認識するパフォーマンスが降下する。乗客の旅の全行程を理解し、分析すれば、極めてシンプルで無駄を排除した直感的なウェイファインディングがいかに重要かを理解させられる。

Architecture
直感的なウェイファインディングのためには、そもそもサインを必要としている建物のあり方こそ重要だと言及している。建物自体が、ウェイファインディングのcue=きっかけと成り得るのであれば、それが最も有効であると。

Color-coding
氏の経験上、空港運営側が多色を使いたがる傾向があるという。つまりは、運営側は、空港内の、実は複雑で緻密な計画を知り過ぎているからに他ならない。しかし、氏は飽くまで乗客の立場に立ち、直感的な理解を追求する。同じ形の建物A 、B 棟を識別するために、後付けで色分けしても意味を成さない。むしろ、ステップボードのプロセスを、カラーコードに忠実に色分けすれば、有効に活用できるのではないか。ただ、いたずらに色を付けただけでは、色はノイズ化してしまう。色の扱いには、慎重さが極めて重要と解く。

関東セミナー3
Just your personal assistant …
氏の思い描く、近い将来のウェイファインディングについても語っていただいた。スマートフォンや、IDカードに登録したIdentify を「絵文字」を使って電光掲示板に表示したり、デジタルマップに現在地を表示させたりする方法。電車のドアをセキュリティーのための全身スキャナーとしてしまう方法や、自家用車を丸ごとスキャンしてセキュリティチェックする方法など、どれも、氏の50年に及ぶ研究の蓄積と、それと共存する若々しく柔軟な発想が産み出したアイデアである。

氏のこれまでのプロジェクトが、リラックスした快適さを追求する氏自身と、全ての人の想いのためにあることを理解することができた。

関東セミナー5

レポート:関東地区 渡辺 光恵

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