読書の森 松原図書館

金賞/永山祐子賞

株式会社マルヤマデザイン:丸山智也

所在地
大阪府
デザイナー
株式会社マルヤマデザイン:丸山智也
建築設計
有限会社マル・アーキテクチャ
建築設計
株式会社鴻池組
施工者
株式会社ヒッツヴイ
施工者
株式会社高松ホットスタンプ
クライアント
松原市
カメラマン
中村絵写真事務所:中村絵

応募者コメント

大阪府松原市にある図書館のサイン計画です。建築は周辺に多くある古墳のように、ため池に浮かぶ佇まいをしており、象徴的なその風景をVIとしても使用しています。サインは、有機的に並ぶ書架から着想し「森の道標」というコンセプトを提案しました。森の中を歩くように、さまざまな場所に点在するサインを辿りながら、目的の本を探すことができます。最終的に公募によって「読書の森」という愛称に決まり、よりイメージとの一貫性が生まれたと思います。1階のサインは、書架の片側に大きく一次区分を表示し、フロアマップとオーバーラップさせながら、位置を確認することができます。さまざまな方が訪れる場所なので、分かりやすく、ニュートラルなデザインを心掛けました。

特別審査員賞(永山祐子賞)審査評

溜池に佇む古墳のような土木的でソリッドなイメージの図書館。中の書架の配置も平行に整然と並ぶ従来の図書館とは異なり、自由な配置となっている。「森の道標」としてのサインはモルタルのソリッドな面に文字が少しだけはみ出し、浮遊しているように見える。「読書の森」という施設名を表すように、まるで森の樹木のように様々な高さに林立する道標が空間に軽快なリズムを与えている。建築と見事に融合し唯一無二の表現となっている。(永山祐子)

審査評

近年、古墳の発掘が進む松原の地に在って、それを象徴するが如く岩の塊のような外観を持つ図書館である。石の質感と垂直を嫌った造形は時間を超越した地域の智の集積地としての図書館をうまく表している。特に閲覧室に屹立する書架サインはモルタルの石質空間イメージと抽象イメージとしての切り文字との関係をよく繋いでおり、この味わいは受付の小さなサインにまで展開されている。空間イメージの制御が建築から内部の書架サインや読書テーブルにまでうまく展開された作品である。(横田保生)