道の駅 川場田園プラザ サインリニューアル計画

日本サインデザイン大賞/経済産業大臣賞

(株)KMD:宮崎 桂

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所在地
群馬県
ディレクター・デザイナー
(株)KMD:宮崎 桂
デザイナー
(株)KMD:堀田 博暢
デザイナー
(株)KMD:福嶋 有希
施工者
フロムトゥ
クライアント
川場村

応募者コメント

波板の特性を生かした既存サインの改修アイデアである。サインデザインは本施設の存在する川場村に広がる田んぼや果樹園の畦畔整備に用いる畔板(アゼイタ)をヒントに、自由に曲げることができる波の特性を活かし、既存サインの表面を包み込み巻き込んでしまう手法を用いて、コストを抑えながら施設全体のサインの整理と統一を図った。
このプロジェクトでは、バナキュラーな既存の建築群の中で、サインをリニューアルするだけでどれだけ場が変えられるかが大きな課題であった。考えたのは、たとえミスマッチであっても新たなエッセンスを加える手段として、サインの素材としては使いにくい波板をあえて用いたこと、しかも波の表面を利用して文字をデフォルメさせ、表示の在り方としては非常識な方法を試みるなど、単にきれいに改修するのではなく、常識から一歩外れた素材や表現を選択することで、デザインの存在と影響力を訴えた。

審査評

川場田園プラザは、群馬県利根川郡川場村にあり、自然豊かな環境で家族が一日楽しめる道の駅として人気で年間120万人の来場者があるという。本作品はすでに整備されている既存施設のサイン改修プロジェクトである。既存サインの改修は予算的制約もおそらくあったであろうと推測するに、ガルバリウムという金属の波板を使って、ぐるりと既存サインを包み込んだ手法は大胆だ。ガルバリウムは耐食性に優れた金属で、値段が安く、ロール状にして売られている波板は田畑の畦(あぜ)の整備に使われている。普段サインには絶対に使用することのない波板を用いた発想に驚かされるが、この素材から自然と「農園」を想起させられ、施設のテーマにとてもマッチしていると感じさせられるのが不思議だ。サイン表示面としては、わざわざ凸凹している波板に情報は出しづらいのではないかとついつい頭では思ってしまうが、波板に直接書かれた文字やグラフィックからは文字など見えにくさは感じられず、むしろ波がグラフィックに素朴なリズムと独特な表情を与え、好感が持てる。改修のローコストを逆手に取り、安い材料でこれまで見たことのない魅力溢れるサインを創造したこのサイン計画は、卓越したデザイン感覚に裏付けられた秀逸の作品であると評価された。(竹内 誠)