関東地区フォーラムレポート「SDA FORUM 2010 in KANTO」
2010年5月28日(金)乃村工藝社本社ビル3Fにて関東地区フォーラムが開催された。講師には建築家の青木淳氏をお招きし、「建築におけるサイン感」をテーマにお話いただいた。フォーラムにはSDA会員のみならず一般参加者も多く、192名というこれまでに無い参加者が集った。
氏は現在SDA賞の2次審査員ということもあり、初めに昨年A-2類にて最優秀賞を受賞した「横浜市による横浜駅コモンサイン整備プロジェクト」の話をされ、横浜駅においては各鉄道が入り乱れているため、様々なデザイン、情報が混乱しているものを整備されたことを、大変重要なことだと話された。これは「今あるものをより良いものにしていくことがデザインなのでは・・・」という氏のデザインに対する一つの定義として横浜駅の例を挙げられたと考える。次に氏が初めて携わった「熊本アートポリスにおける馬見原橋」の話をされた。クライアントからは観光客が増えるように、観光、宿場町らしさを残す橋として、橋になまこ壁を付けては等々の依頼内容であったようだが、氏は「デザインが全てではなく、様々な人々が出会いそこに情景が生まれること、造形的にとらわれすぎず、何かを変えることで格段に良くなることがデザインではないか」と話された。しかし、馬見原橋の実際の写真を拝見すると、一つの橋で上に車道があり、下に緩やかな弧を描いた歩道があるという、機能的にも造形的にも素晴らしい橋が存在していた。次に氏の景観、環境に対する考えとして、表参道、香港、名古屋、銀座等におけるそれぞれの事例を紹介していただいた。いずれの事例も「その街の中でどうやったらその街にプラスになるか」を考えながら仕事を進めているのかが理解できるものであった。
最後にサインの事例として「青森県立美術館」の話をされた。まず建築的には三内丸山遺跡をモチーフとし、あえて構造をみせる建築を紹介された。その中で構造を見せたくない構造側に対し、構造をみせるため最後に図面を変えてしまったという、お茶目なエピソードから話が始まった。氏のこの計画におけるサインに対する考えは、美術館なのでサインやその他のもので美術品を邪魔してはならないという、施設構成を主とした考えに基づいたサイン計画にすることであった。また、サインは「もの」として考えるのではなく「こと」として、「今ある在り方の整理や更新すること」がサインデザインではないかと仰せられた。
氏の環境やものの本質を追求し、人々によって色々な見え方があり感性に訴えるようなデザインに共感しつつ、穏やかな氏の人柄の中に環境や建築、サインに対する情熱が垣間見えた素晴らしいセミナーだった。
セミナーの後、ホテルインターコンチネンタル東京ベイで懇親会が開催された。懇親会のテーマは「縁」。日本経済が低迷するなか、サイン業界も厳しい状態だが、各地区の会員同士が力を合わせ、ともに助け合っていこうというメッセージが込められた懇親会となった。参加者はちょうど100名となり、フォーラムと同様、いままでにない大勢の参加者となった。鶴賀若狭掾氏、鶴賀伊勢次郎氏、新内勝志壽氏による三味線と唄による新内節の演奏、橘流寄席文字書家、橘右門氏による「江戸寄せ文字」の実演、関東地区会員と各地区の会員がともに力を合わせてよもぎ餅をつくなど、墨田川を面前に、古き良き江戸文化が感じられ、おおいに盛り上がった懇親会となった。
レポート:関東地区 井原 由朋
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