2009.12.04 関東地区 東京都 銀座〜新富〜築地エリア
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ある都市で道がわからないことは、たいしたことではない。しかし、森のなかを迷い歩くように都市のなかを迷い歩くには、習練が要る。迷い歩くひとにはさまざまな街路の名が、乾いた小枝が折れる音のように、語りかけてこなくてなはならないし、また都心の小路という小路が、山中の窪地のようにはっきりと時刻の変化を映し出してくれねばならない。 ベンヤミン「一九〇〇年頃のベルリンの幼年時代」には以上のことが記されております。 第二回サイン探検隊は、銀座〜新富〜築地エリアとなりました。日本でも有数の近代建築が立ち並ぶ一方、第二次世界大戦時の東京大空襲の際、この界隈は戦火を逃れた建物が多く、現代でも昔の建築やサインが確認できる珍しい場所です。ベンヤミンが指摘しているように、現代の都市や建築の背後に見え隠れする、昔のサイン=兆候=イマージュを再認識でき、都市のなかを迷い歩き、歴史的な移ろいを感じることができた探検になりました。 今回の参加者はフランスのサインメーカーのオーナーもおり、デザイナー、ディレクター、営業、設計者、製作者などサインに携わる様々な人たちが集合した賑やか探検隊が構成されました。 銀座における海外のブランドの出店は目を見張るモノがあります。しかし、地代が高い銀座特有の立地条件のため敷地ぎりぎりに建物が建っており、建築の様相がスケルトン・フラット(二次元的)とLEDの構成が多くみられ、どれも似たような印象をうけました。 その中でも目を引いたのが銀座エルメスのディスプレイでした。モニターに映し出された女性が息をふくと、実際に吊りされている生地が風にゆれて動く演出になっています。虚像と実像が一体となった演出で、ちょっとしたアイデアが人々に喜びや楽しさを与えるよいディスプレイだと思いました。近年、デジタルサイネージの隆盛がめだってきておりますが、テクノロジーにのみ頼るのではなく、人間の所作や自然現象が如何にデザインや演出に効果を与えることがでるのか、考えさせられる事例だと思いました。 フランス人の参加者もあり、フランスと日本の比較文化論的な視点でのサインが考察もできました。フランスにはサインの規制があり、銀座の様な目抜き通りには袖看板サインは禁止されているようです。また、テナントサインについてもチャンネル文字だけ表示できるなど、東京とは異なる規制があるようです。 近代的な建築群が圧倒的に存在するなかにも、銀座の歴史を感じさせるこころ暖まる建物やサインもありました。鳩居堂の手彫りの石看板、秩父錦の手彫り木看板など、時間とともに表情の深みがでており、とてもよい雰囲気がでておりました。鳩居堂のサインはただ、鳩がポールに止まるのではなく、外壁を鳩小屋に見立てたデザインになっており、サインに対するオーナーの愛情を感じることができました。 SDA大賞をとった銀座LANVINのサインも調査しました。受賞時は筒状のクリアアクリルの小窓から店舗のなかを除きみることができ、とてもユニークなデザインでした。今は全て壁でふさがれており、従来のデザインの意図が皆目確認できず、とても残念に感じました。 私たちサイン探検隊は銀座界隈を調査した後、昭和初期の看板建築、長屋建築が今でも残る新富、築地を調査しました。昭和初期の建築は、やはりホッと心を和ませてくれます。そこには、古人の知恵が詰まり、人の手が入った痕跡が読み取れます。東京の街から姿を徐々に減らしており、あらためて残念に感じました。近代建築の横に、当然の様に昔の建物が存在し、バナキュラー的(土着的)に都市が生成変化する東京特有の都市形成が再確認できました。調査の終点は築地本願寺でした。長い距離をウォーキングしたせいか、師走の寒いなかでも喉がとても渇き、夜の懇親会(忘年会)では美酒を楽しむことができました。 レポート:小谷正紀・竹本幸司・渡辺孝弘・八島紀明 |
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