関東地区 工場見学会を行いました

5月24日(木)にシルク印刷工場見学会をエムエスアート様にて開催しました。

 「スキージは腹で引く。手じゃなくて。」

作業場におじゃますると壁際の棚いっぱいにシルク印刷に用いる調合したインクの容器が積まれ、部屋の中心にある作業台には想像していたよりも大きな版(メッシュを張った2m×1m位のアルミ枠)と印刷対象のアクリル板がセットされていました。印刷するグラフィックは見慣れた公共交通の表示です。版を作業台に固定し調合したインクを載せ、2人の職人さんが1つのスキージを作業台の左右に分かれて持ち、息を合わせてゆっくりと後ずさりながら引いていきます。完全な手作業です。この作業、同じ力と角度で引くのがとても難しいそうで冒頭の言葉をお聞きしました。

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1色終わったら版を外して溶剤で洗浄し、次の色で同じ工程を繰り返して多色刷りを仕上げていきます。そして最後に黒を印刷して完成しました。シルク印刷のメリットとして①繊細な色調整が可能  ②ベタ面の均一な美しさ が挙げられるそうですが、確かに最後に黒が刷られてギュッと締まった板面はインクジェット出力とはまるで違う、繊細かつ均一でとても美しい仕上がりでした。しかし、昨今はシルク印刷の仕事は減少しているそうで、エムエスアート様ではシルク印刷技術の維持また、向上を目的として毎年外部デザイナーを起用した、アートカレンダーを製作されているとの事でした。

今回の見学会では上記のデモンストレーション以外にも、版の製作方法やインクの調合も含めたシルク印刷の一通りの流れを解説頂き、またUV印刷や水張り等も実際の作業を見せて頂きました。サイン業界では「シルク印刷」という仕様を見聞きする事は多いですが、製作行程やメリットについては「???」という方もおられるのではないでしょうか。私もそうでした。今回とても勉強になったと共に、シルク印刷について再認識できました。

貴重な機会をご提供頂いたエムエスアート麦島様、小幡様はじめ皆様、また参加された皆様、誠にありがとうございました。

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レポート: 関東地区 渡辺 武

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